弁護士コラム
2024.09.25
弁護士 後藤 敦夫
申述期限間近の相続放棄手続き
相続放棄ができる期間(熟慮期間)は,原則「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」(民法915条1項)である。
そして,相続放棄をするには,相続放棄の申述書や添付資料を管轄の裁判所に提出する必要がある。管轄裁判所とは被相続人の最後の住所地の家庭裁判所であり,添付資料とは相続人が死亡したことや申述人が相続人であることを示すための資料(戸籍等)等である。
相続放棄申述書は裁判所のHPにあるものをプリントアウトして記載すればよいが,戸籍等については市町村役場にて取得する必要がある。自身の戸籍ならコンビニでも取得可能であるが,そうでなければ市町村役場に赴くか,もしくは郵送にて取り寄せることになる。郵送で取り寄せるにしても,被相続人の住所地が遠方であったり,そもそも被相続人とは疎遠で住所地を把握していないなど,すぐには取得できない場合もあり得よう。
では,相続放棄の手続きが遅れ,申述期限間近になってしまったが,必要な資料がすぐに集められないといった場合どうすればよいか。
以前相続放棄申述期限当日の方から相談を受けた際,この点を裁判所に問い合わせたことがある。裁判所の回答は以下のようなものであった。
・相続放棄申述書のみとりあえず提出し,添付書類は後日提出する。
・管轄裁判所がわからない,または遠方ということであれば,最寄りの裁判所に提出する。
・裁判所が閉まっている時間帯であれば,守衛の方に渡す。守衛の方もいなければポストに投函する。ただし,ポストに投函した場合,当日投函の扱いにしてもらえるかどうかは裁判官の判断となる。
相続放棄に関する運用は,各裁判所の担当者や時期によっても異なると思われる。まずは管轄もしくは最寄りの家庭裁判所に問い合わせてみることを勧める。
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