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2025.04.09

弁護士 後藤 敦夫

口座(預貯金)仮差押え 具体的な手続きの流れ

最近,久しぶりに仮差押えの申立てを行った。随分久しかったため手続きを一つずつ確認しながらの申立てとなった。備忘録として,手続きの具体的流れを以下に書きとめる。なお,裁判所によって運用が多少異なると思われるので,細かなところは都度書記官さんに確認するとよい。

 

●申立当日

まずは申立書を作成し,裁判所へ提出することから始まる。今回の仮差押債権は債務者の預金である。請求債権は50万円程度なので,簡易裁判所へ申立書を提出する。申立書の作成にあたっては,債務者所有の不動産に余剰価値がないことは登記簿上明らか(土地と建物の所有者が別,担保権が設定されている,自治体による差押えがある)なこともあり,特に難なく進められた。

 

●申立から3日目

書記官より担保提供命令発令を知らせる電話があった。決定された額の供託金を3日以内に供託するようにとのこと。今回は疎明資料の中に契約書等はなかったので,原本の提出を求められることはなかった。

依頼者のところへ行き,供託委任状を2通書いてもらい,供託金を預かる。その足で法務局に寄って供託の申請用紙(OCR用紙)をもらう。一旦事務所に戻り供託の申請用紙に必要事項を記入する。

裁判所書記官に翌日に供託予定であることを電話で伝える。書記官から供託書原本とその写し1部を提出するようにとの打診を受ける

法務局に供託の申請用紙と供託委任状2通を提出。供託委任状2通のうち1通には上部に「代理人の確認請求いたします。」との文言を入れておく。そのまま30分ほど法務局で待ち,「供託受理決定通知書」と「振込依頼書」を受け取る。また供託委任状2通の還付を受ける。上記の文言を入れた供託委任状には,「代理権限証書確認済」との印が押されていることを確認する(これは供託金を取り戻すときに必要となる。)。

 

●申立から4日目

銀行に行き,「振込依頼書」を使って供託金を振り込む。

事務所に戻ってからしばらくして法務局より供託金振り込みの確認が取れたので「供託書」を取りに来てほしい旨の連絡を受ける

法務局で「供託書」を受け取り,そのまま裁判所へ写しを1部付けて提出。原本はその場で返還される。

事務所に戻ったあと,暫くして裁判所より仮差押え決定が出たとの連絡が入る

 

●申立から5日目

裁判所で仮差押決定書を受け取る。

 

●申立から6日目

第三債務者である金融機関から,債務者特定のために債務者の生年月日,名前の読み仮名を教えてほしいとの連絡が入る。

 

●申立てから10日目

裁判所より,第三債務者である金融機関作成の「陳述書」が届く。そこには債権の存否(預貯金があるかどうか),弁済の意思の有無,弁済する範囲(仮差押可能な額),優先権利者の存否等が記載されている。

 

以上,今回は特に問題も起こらず,申立てから4日目で仮差押決定を得ることができた。次回は供託金の取り戻し手続きについて,同じく手続きの具体的な流れを記す予定である。

 

 

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