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2022.09.06

弁護士 是澤 雄一

刑事損害賠償命令制度

「刑事損害賠償命令制度」とは、特定の刑事事件について刑事裁判を行った裁判所と同じ裁判所が、当該事件に関する損害賠償請求についての審理を行う制度です。有罪判決後、第1回審理期日が開かれ、原則4回以内の審理期日で終結となります。民事裁判の場合、期間として1~2年、期日も10回以上となることが多いので、一民事裁判と比べて迅速な解決を図ることも可能です。また、刑事損害賠償命令事件では、民事裁判と同様に和解、請求の放棄、請求の認諾、取下げをすることができます。

 

【対象事件】

①故意の犯罪行為により人を死傷させた罪

②強制わいせつ、強制性交等の罪又はその未遂罪

③逮捕及び監禁の罪又はその未遂罪

④略取、誘拐及び人身売買の罪又はその未遂罪

⑤上記②~④の犯罪行為を含む他の犯罪

 

【申立人】

対象犯罪の刑事被告事件の被害者又はその一般承継人(相続人)

 

【申立手数料】

訴因1個につき、2000円

 

【提出方法】

刑事被告事件の弁論の終結までに、請求の趣旨及び請求を特定するに足りる事実を記載した書面を、当該被告事件の係属する裁判所(地方裁判所に限る。)に提出する

 

【判決】

裁判所から、損害賠償命令が下され、2週間以内に当事者から異議が出なければ、損害賠償命令は確定判決と同一の効力を有する

損害賠償命令を債務名義とする強制執行手続は、民事執行法の規定に則る

損害賠償命令に対して当事者が異議を申し出た場合、損害賠償命令の申立て時に民事訴訟の提起があったものとみなされる

 

【 民事訴訟へ移行】

①4回以内の期日で審理の終結をすることが困難と認められる場合

②申立人が、刑事事件の判決日までに、民事訴訟手続を行うことを求めた場合

③当事者双方が、民事訴訟手続を行うことに同意した場合

 移行後は、通常の訴訟手続によって審理が進められます

 

 西播磨(たつの市・宍粟市・相生市・赤穂市・揖保郡太子町・佐用郡佐用町・赤穂郡上郡町)、姫路で、犯罪に遭われてお困りの方は、「後藤敦夫法律事務所」へ