弁護士コラム
2023.04.07
弁護士 是澤 雄一
交通事故の過失割合
交通事故においては、過失割合が争われることが多々あります。
過失割合とは、発生した事故について、各当事者がどの程度事故の責任を負うのかを示す割合のこといいます。
過失割合を判断する上で、実務上、「別冊判例タイムズ38号」 が参考にされることが多いです。
過失割合の認定には、以下のとおり、判断していきます。
①事故類型の認定
判タ38と類似した事故類型を探し、基本となる過失割合を確認します。
ア 当事者 ex歩行者、四輪車等
イ 道路状況 ex交差点、直進道路等
ウ 交通規制 ex一時停止、追い越し禁止等
エ 運転態様 ex直進、右折、停車等
②修正要素の検討
事故類型により、基本となる過失割合が明らかとなりますが、さらに修正要素を確認する必要があります。
修正要素としては、事故類型ごとに複数あります。
ア 当事者の属性 ex年齢等
イ 道路状況 ex幹線道路、夜間等
ウ 運転態様 ex合図なし、徐行なし、速度違反等
エ 過失の程度 ex著しい過失、重過失
修正要素に基づき、基本となる過失割合を修正したものが、判タ38から導かれる最終的な過失割合となります。
もっとも、判タ38のみを参考にしてはいけません。
判タ38は過失割合を基準化しただけであり、さらに裁判例等を用いて検討をする必要があります。例えば、判タ38であれば、「児童」を「6歳以上13歳未満」と定義し、これを修正要素としています。しかし、14歳であったとしても「児童に準じた立場」であったとして修正要素として採用した裁判例もあります。
また、過失割合については、通称「赤本」という書籍にも記載されています。赤本と判タ38とに記載された過失割合は、そのほとんどに差異はないのですが、異なっている事故類型もあります。その場合、基本的には、こちらに有利な方を採用すればよいと思います。
さらに、そもそも、事故類型を当てはめることが出来ないケースがあります。交通事故においては、追突等のケースを除き、双方に少なからず過失が認められることがほとんどです。しかし、交通事故における「過失」とは結果回避義務違反のことをいい、結果の回避がそもそも不可能であった場合には過失が認められません。事故類型が似ているから、判タ38に(無理やり)当てはめようとするのではなく、あくまでも個別具体的な判断が必要となります。
西播磨(たつの市・宍粟市・相生市・赤穂市・揖保郡太子町・佐用郡佐用町・赤穂郡上郡町)、姫路で、交通事故に遭われてお困りの方は、「後藤敦夫法律事務所」へ