弁護士コラム

2020.10.15

弁護士 是澤 雄一

相続

 相続が発生した際によく問題となるのが,相続放棄です。

 相続放棄は,相続人が,自己のために相続の開始を知った時から3カ月以内にしなければなりません(民法915条)。注意をしないといけないのは,①3カ月という期間の短さ,②相続放棄は家庭裁判所の手続が必要なこと(民法938条),③相続財産を処分してしまった場合には単純承認(民法921条1号)したとみなされ相続放棄を出来ない可能性がある,ということです。たまに①~③のいずれかに引っかかっている相談をみかけます。今回は,①の期間に関する事例を紹介します。

 

【事例】

 

被相続人 昭和50年頃に死亡

相続人  長男A,二男B,三男C

 

 Bは,被相続人が昭和50年に死亡したこと,及び,当時,遺産として不動産が存在していることを認識していた。もっとも,Bは,当時,Aが不動産を相続したと考えて相続放棄をしていなかった。平成30年頃,突然,Bのもとに不動産の管理を求める書面が届いたため驚き,当事務所に訪れた。

 

【検討】

 

 上記の事実によれば,原則として相続放棄は認められません。しかし,そもそも民法915条1項が,相続放棄等に熟慮期間を許容しているのは,「相続人が,相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた場合には,通常,右各事実を知つた時から三か月以内に、調査すること等によつて,相続すべき積極及び消極の財産(以下「相続財産」という。)の有無,その状況等を認識し又は認識することができ,したがつて単純承認若しくは限定承認又は放棄のいずれかを選択すべき前提条件が具備されるとの考えに基づいている」(最高裁昭和59年4月27日第二小法廷判決)からであり,遺産として積極財産の存在を認識したとしても,自らが相続すべき財産はないと考えた相続人には,これを相続放棄する動機がなく,相続放棄等を選択すべき前提条件を欠くことから,その場合には「自己のために相続があったことを知」らなかったと同視できる,と考えることも可能です。

 そこで,相続開始からBに文書が届くまでの間,B自身が相続すべき財産がないと考えたことを証明する証拠などを提出し,文書が届いた日を起算点とすべきであることを主張しました。その結果,無事,相続放棄が認められました。

 このように,ご自身で無理と思われても解決できる可能性があるので,専門家へご相談下さい。

 

 西播磨(たつの市・宍粟市・相生市・赤穂市・揖保郡太子町・佐用郡佐用町・赤穂郡上郡町)、姫路で弁護士をお探しなら、「後藤敦夫法律事務所」へ